先輩の活躍

仕事と子育ての両立
キャリアアップと子育ての狭間で

小規模多機能ホーム オハナハウス

平成18年 中途入職

施設管理者

二階堂 梨恵 さん Rie Nikaido

実習の経験はとても貴重
障がい者福祉から高齢者福祉へ
進路を変更

中学生の頃、たまたま障がい者福祉に関するテレビ番組を観ていて、福祉の世界に興味を持ちました。将来は福祉関係の仕事に就きたいと思い、高校卒業後は地元の介護福祉系の専門学校へ進学しました。学生時代はボランティアに積極的に参加し、私がこの福祉の世界を目指すきっかけとなった障がい者施設へも行きましたが、イメージしていたものと現実とのギャップの大きさに最初はかなり戸惑いました。知的障がいがある子どもたちの施設に行ったのですが、まずコミュニケーションが取れない。見ているのと実際に接するのとでは、全く違うんです。ケアが必要な方と自分が一緒に何かをする、ともに関わりながら過ごす、というイメージを描いて現場に入ったものの、それがほぼ叶わなかったんですね。学生で、経験もなく、福祉の理想ばかりを思い描いていた(笑)。今思い返せばやはり私自身も若かったな、というところもありますけれど、当時の私にしてみれば、とにかく理想と現実のギャップがあまりにも大きくてただただショックを受けていたんです。

沢山の施設にボランティアとして伺ったんですけど、どこも私にしっくりとこないんです。自分には福祉の世界って向いていないんじゃないかな・・・って、障がい者福祉の分野で、現場で直接生活支援をする将来の夢が自分の中で崩れかけて、もう心にぽっかりと穴があいたような気持ちでいました。将来の就職のこと、また一から考え直しだな、なんて思っていたんです。そんな中、実習で高齢者施設に行くことになり、そこでお年寄りの方たちと関わりました。
子どもの頃、私の家にも祖母がいて、おばあちゃんのお友達なんかが昼間お茶のみによく来ていたりして、学校から帰ってきた私に「一緒におやつ食べっぺ」と。ランドセルを置いてすぐ、おばあちゃんとおばあちゃんのお友達の間に座って、おやつを頬張った。祖母からは随分可愛がってもらいました。そんな記憶が蘇ったりして、自分でもすんなんりと関わっていけたんです。福祉の中でも高齢者福祉の方が自分に合っていると感じて、そこからは迷いなく、高齢者福祉の分野に進もうと気持ちが固まりました。

お一人おひとりと向き合いたい
ユニットケアへの関心

卒業後は、地元の特別養護老人ホームに就職しました。昔からある、従来型の特養施設です。専門学校を卒業してから介護福祉士として5年間働きました。いわゆる集団ケアで、お風呂も食事も排泄ケアも、すべてが効率重視で進めている部分が多かったので、どうしても流れ作業的な日常でした。
ある時、知的障がいがある認知症の女性が入所して来られ、私が居室担当になりました。その方は、子どもの頃から知的障がいがあり、家族は周囲の目を気にするように家からあまり出さなかったんです。ずっと家の中だけで生きてこられた方でした。入所後、毎日毎日何度も話しかけたりはしたものの、全く笑わないんです。会話はできるけれど、無表情のままうなずくことが殆どでした。それでも、来る日も来る日も声をかけ続けたら、次第に少しずつですが、笑うようになったんです。そしてしばらくすると、普通に笑ったりしながら話す様にまでなりました。ある時、ご家族の方、確か弟さんの奥様が面会に来られた時の事、弟さんの奥様が大変驚かれて「こんなに笑ったこと今までなかった」と仰っていました。関わり方で、人はこんなにも変わるんだ、と思いました。ケアって、こういう事なのかな?と。入所されてからずっと、来る日も来る日も声を掛け続けてきて本当に良かったと思いました。それからも時間さえあれば、声をかけ続けました。
このことがきっかけで、お客様お一人おひとりとの関わりについて、私自身、改めて考え直すとても良い機会になりました。従来型の施設で効率追求スタイルでお客様の介護をするのではなく、お一人お一人ともっと関わりたいという気持ちが次第に強くなったんです。そんな中、地元に新しく全室個室ユニット型の特養施設で出来ると知り、新しい挑戦をしたくて転職を決意しました。それが湖星会です。ユニットケアに力を入れる施設と伺い、まさに私がやりたい事だ!と、気持ちは決まりました。

お客様が
施設の都合に合わせる日常から
お客様の暮らしのペースに
我々が合わせるケアへ

これまで湖星会に入職するまでの5年間、私は介護福祉士として従来型の特養で介護の仕事をしてきましたが、ユニットケアを学べば学ぶほど、今までやってきた事がいかにお客様目線ではなかったか、施設や介護者の都合だったかという事に気付かされました。シンプルに考えて、私たちの普段の暮らしと比較してみればいいことなんですけど、その発想が持てていなかった自分に気付かされた感じです。
規則的な生活が心身の健康に良いことはわかっていても、休みの日は予定が無ければ朝は少しゆっくり起床したいですし、前の晩に普段より沢山食事をしてしまえば、翌朝あまりお腹が空かないですし。大体の生活リズムは持っていても、生身の人間ですからいつもと違う時だってある訳です。生活上の習慣もそうですよね。朝はコーヒーとパンだけの食生活を何十年もされてきたお客様が以前いらっしゃいましたが、その方にご飯とお味噌汁の食事を毎朝出しても、当然の事ながら召し上がらない。歯磨き粉はこのメーカーのものを長年愛用しているとか、身体はボディーソープじゃなくてあかすりタオルに石鹸を擦り込みながらそれでゴシゴシ洗いたいとか。そういった、お一人おひとりが持つ日常の小さなこだわりを理解して、お客様の暮らしのペースに合わせた支援をすることは、その方らしい暮らしの継続を実現する上でとても大切になってくると思うんです。あくまでも、お客様の暮らしのペースに職員が合わせて支援していくというスタンスです。だから、湖星会に入ってから、施設内で職員が走る姿って一度も見たことがない気がします。お客様の生活リズムに職員が合わせていれば、走らなければならない事って、あまりないですもんね(笑)。
湖星会では介護職からスタートして、生活相談員、介護支援専門員、施設管理者と経験させて頂いてますけど、どの職種に就いている時も「お客様目線」「お客様の暮らしのペースに職員が合わせて支援していく介護」という、このスタンスは変わらず持ち続けています。

湖星会で二度の産休と育休を経験
女性が生涯にわたって成長できる
職場環境がある

湖星会に入職してしばらくすると、第一子を妊娠しました。ちょうどみどりの郷で私が介護職をやっていた頃ですね。妊娠がわかってからは夜勤を外して頂き、日勤中心で勤務していました。私の体調を気遣って色々と配慮して頂いたので、身体的にも負担なく、産休に入るまでの間もずっと介護の仕事をしていられました。周囲のフォローが本当に手厚かったんです。私のユニットは育児経験者は少なく若い方が多いユニットだったのですが、周囲のフォローに本当に助けられました。おかげで、母子ともに健康な状態で第一子を授かりました。
最初の子の出産後半年間は、あっという間でした。最初の子でしたから、訳が分からないまま、とりあえず授乳して、とりあえずおむつ交換した、って感じでしょうか(笑)。夜から朝までぐっすり寝てくれる子だったので、寝不足になることもなく。私が疲れて熟睡してしまって気付かなっただけなんでしょうかね?(笑)
出産後は、半年間育休を頂きました。今は皆さん、育休期間いっぱい育休を取得される方が殆どだと伺いましたが、私は早めに仕事に復帰したかったので、実家の母が近くに居たのをいいことに母に子どもを預けてすんなりと復帰です。かねてから生活相談員の仕事には高い関心を寄せていたのですが、復帰するタイミングで生活相談部への配属が決まり、生活相談員として職場復帰しました。

その後しばらくして、第二子の妊娠がわかりました。その時はみどりの郷で生活相談員をしていました。第一子の時とは違い、悪阻が重く体調にも波がったのですが、産休に入る直前まで相談員業務として仕事を継続していました。ペアを組んでいたケアマネさんが色々と気を遣って下さって、何とか産休に入るまでは仕事を続けることができました。第二子の時は、最初の子の時よりも、もう少し長く育休を取得しました。二人目の時の子育ては、最初の子の時ほど大変ではなかったというか、落ち着いて育児していられました。
第二子の育休時に東日本大震災があって、震災直後のタイミングで職場復帰しました。あの時は、南相馬の被災した特養から受け入れた方たちのフォローと、万葉の郷の開設準備で生活相談部はてんやわんやでしたね。気持ち的にはもう、正直、育休の復帰とか、そんな流暢なこと言っている場合じゃなかったです(笑)。育休明け早々とても忙しかったのですが、そんなさ中であっても、周囲の気遣いがすごくあって、本当にありがたかったです。その心遣いと家族の協力にすごく支えられ、何とかその局面を乗り越えることができました。

仕事と子育ての両立
キャリアアップと子育ての狭間で

湖星会に入職して早13年。ユニットケアをやりたい!と介護職として入職して、生活相談員を経験して、ケアマネの試験に合格した後は介護支援専門員としての仕事にも就かせて頂いた。施設内に実務者研修の教室を設置して職員の国家資格取得を支援する「KOYAMA College」を導入すると決まってからは、教員講習会にも参加させて頂き、実務者研修講師の仕事に挑戦するチャンスもいただいた。そして今、施設の管理者として働いている。自分自身の成長機会は十分なほどいただいたと感じています。学生時代の友人で同じ業界で仕事をしている方がいらっしゃいますが、先輩が定年退職しない限り次のポストに空きが出ないから、なかなか次のステップにチャレンジできないという方がいらっしゃいました。自分が置かれた環境がいかに恵まれているか、本当に湖星会には感謝しています。

プライベートでは、その間に子どもを2人授かり、産休、育休を取得して、仕事に復帰して。そう考えると、自分の大きなライフイベントも自分自身の成長も、この湖星会の歴史とともに歩んでる感じがします(笑)。出産や育児でお休みを頂く期間も結構ありましたが、そのことが要因で私自身のキャリア形成で後れを取っていると感じたことは全くありませんでしたし、周囲の職員の方の協力がすごくあって。人に恵まれたと思っています。

現職には昨年から就かせて頂いていますが、管理者となってからは専門職として仕事をしていた頃よりも時間的にも忙しくなりましたね。主人も私の仕事を理解して協力的ですが、それでもやっぱり帰宅すれば子どもの事、家の事と押し寄せてくる感じで、自分の時間はしばらく取れていないです(笑)。子どもたちの成長とともに学校行事が色々入ってくるので、仕事のスケジュールとの調整が以前よりも難しくなってきましたが、施設の監査や実地指導等の日程と子どもの行事が重なってきてしまうと、子どもの行事に行ってあげられない事もしばしばです。専門職時代は、子どもの行事を優先してお休みを頂いては参加していましたが、施設管理者となってからは、そうはいかないですよね。
責任ある立場で仕事をする、それだけ色々任せてもらえるということは大きな遣り甲斐もあって仕事面ではとても充実しているのですが、以前のように子どもの行事を最優先して仕事を休むことはないので、気持ちの上ではちょっと寂しいというか、子どもにごめんねって気持ちで切ないです。同じような立場で働いているお母さん方も沢山いらっしゃると思いますが、本当に尊敬します。

休日は子どもたちとの時間を優先
余裕があれば自分の時間を

子どもたちと私の休みが一緒の時は、子どもたち中心で過ごしていますね。子どもたちと一緒の時は、お弁当を作って図書館に行ったり運動公園に出かけたりしています。出かける前日から私の方がワクワクしちゃって、ピクニックに持参するクッキーを前日から焼いたりして私の方が楽しんでいます(笑)。
家族でピクニックしている時が、プライベートでは一番幸せを感じる時かも知れません。子どもも、上の子は徐々に部活やお友達とのスケジュールを優先する様になってきていますから、時間ができた時は買い物に出かけたり映画に行ったりして自分の時間を意識的に持つようにしています。やっぱり、ほんの少しでも自分の時間があると、いいリフレッシュになります。でも、子どもの成長とともに、だんだん手が離れていくというか、こうやって子どもたちと一緒に過ごせるのは今の時期なんだと思うと、その時間が愛おしくて(涙)。二人とも男の子なので、特にそう感じてしまいます。

施設管理者としての目標
お客様も職員も笑顔でいられる
施設を創り上げること

今までは入所施設にいたので、お客様とどっぷり向き合えましたが、小規模多機能施設は在宅介護の位置づけになりますので、普段介護を担っていらっしゃるご家族の想いにも寄り添わなければならない。お客様ご本人の思い、ご家族の思い、その両方がかなえられるのがベストなのですが、必ずしも一致するとは限らない中で、いつも折り合いを探りながら調整しているのが実態です。そんな中でも、お客様が幸せに、笑顔で過ごせるような施設を創っていきたい、それが施設管理者としての今の私の目標なんです。地域密着型複合施設と謳っているオハナハウスです。オハナハウスをもっと地域に根差した施設にしていきたい。地域との連携は、もっと深められるところがまだまだあると思っています。地域の方への感謝の気持ちを込めて、施設周辺の清掃プロジェクトを企画して職員で定期的に実行しているのですが、施設をご利用になるお客様で参加を希望される方は、一緒に地域の清掃プロジェクトに参加していただいて、私たちと一緒に清掃活動をされているんですよ。ボランティアさんの受け入れをもっと広げるとか、介護施設はどうしても地域から参加してもらうことばかりを考えがちですが、先述の清掃プロジェクトのように、もっと自分達の方から地域に積極的に参加していくような取り組みができればと思っています。そうして、地域との関係性を少しずつ深めていきながら、地域の方も介護に関することで何か困ったことがあれば気軽に頼ってきてほしいですし、ふらりと相談に来れる様な開かれた施設に育んでいけたらと思います。

湖星会での就業を
検討されている方へ

やりたいことを次々挑戦できるところが、湖星会のいいところだと思います。例えば、お客様にこんなことをしたい、こんなサービスをやりたい、そういった想いを実現できます。介護の仕事は、大変な部分もありますが、でも、必ず「やっていてよかった」と思えるところがある。それがこの仕事の醍醐味と言うか、最大の魅力であるように感じます。あとは、キャリアアップができる環境であるという点では、他法人と比べて群を抜いていると思います。私も、介護福祉士として入職しましたが、生活相談員の経験もさせていただき、介護支援専門員の資格を取得した後はケアマネージャーとしての経験もさせて頂きました。法人内で実務者研修の学校を運営していますが、その講師のライセンスも取得させていただき、実務者研修の講師も経験し、自分自身が日々勉強できる環境です。今は、施設管理者という立場で新たな挑戦をしておりますが、こうやって自分自身のキャリアアップについてもチャレンジできるところが湖星会の魅力だと思います。

でも、湖星会一番のセールスポイントは何といっても「人」だと思います。本当に、皆さん人が素晴らしい。二度の産休、育休を経て、今こうしてやりたい仕事にチャレンジさせて頂けているのも、周囲の職員に支えられてのことだと思っています。湖星会での就業をご検討されていらっしゃる方がおられましたら、是非オハナハウスにも遊びに来て下さい。お待ちしています。

 

Profile

福島県二本松市出身。福島介護福祉専門学校 卒。
入職後、特別養護老人ホームみどりの郷の介護部に配属となり、長期入所ユニットで介護職として勤務。その後二度産休・育休を経験し、平成23年、同施設の生活相談部に配属となり、生活相談員として復職。施設利用を希望される方の入居相談業務、お客様のご家族対応をはじめとする生活相談員業務全般を担う。その後、地域密着型特別養護老人ホーム万葉の郷の開設立ち上げメンバーとして施設の開設を経験し、介護主任として万葉の郷介護部の基盤づくりに貢献。平成26年介護支援専門員の資格取得を機に、同施設の介護支援専門員を務め、後に小規模多機能ホームオハナハウスの介護支援専門員として活躍。平成29年より現職。
平成18年に湖星会へ入職して以降、3類型3施設において4職種を経験し、またユニットリーダー研修、認知症介護実践者研修、実務者研修教員養成講座の各研修の受講修了。仕事と子育てに奮闘する二児の母。