先輩の活躍

お客様と関わりながら
喜んでいただける食事を

地域密着型複合施設
グループホーム オハナハウス

平成18年10月 中途入職

栄養士(調理師) 兼 介護職 

三浦 理恵 さん Rie Miura

栄養士としての私の原点

子どもの頃から料理が大好きで、高校は調理師の資格が取得できる高校へ進学しました。調理を学ぶうちに、もっと「食」について学びたいとの思いが募り、栄養学科のある短大へ進学しました。クラスの子たちの殆どは栄養士としての就職を考えており、その雰囲気の中で栄養士以外の進路の選択肢を考える機会というのは自分の中であまりありませんでした。当然、栄養士になっていくんだろうな・・・という漠然とした思いの中で学生時代を過ごした気がします。
それなのに、いざ就活の時期に入ると、本当に自分がやりたいことは何なのか・・・と、急に考え出す様になったんです。短大では、栄養士という仕事はどんなことをやるのか、どんな役割を担って誰に対して役に立てるのかということも学びましたし、実習も経験して、私なりに自分が栄養士として働くイメージを何度も描いてみました。本当に私は栄養士の仕事がしたいのか・・・自分自身に何度も問いました。「私がこの道を志した原点は、料理が大好きだったということ。自分が作った料理を『おいしいよ、りえちゃん。』『今日も上手に出来たねー。』と、嬉しそうに食べてくれた祖父母や両親の笑顔がすごく嬉しくて、料理が大好きになったという原点があったからだ。」

中学校の頃からお料理が大好きで、私は家でよく料理をしていました。実家が農家なので、繁忙期には家族総出で家業である農業を支え、そんな時は家族の食事作りは私が担っていたんです。家族が私の手作りの料理をおいしいと食べてくれて、ますます料理が面白くなったんです。あらためて、そう思い返すと、自ずと本当にやりたいことが見えてきました。

どうしてもみどりの郷で働きたくて
アルバイトでその日を待った

今度、実家の近くにみどりの郷という特別養護老人ホームができると聞いていたので、新しくできるその施設で働きたい、そこへ就職したい!と心に決めていました。でも残念なことに、みどりの郷のオープンが短大の卒業時期とタイミングが合わず、新卒採用での就職が叶わなかったのです。どうしても諦めきれない私は、みどりの郷のオープン迄、アルバイトをしながら「その時」を待つことにしました。卒業後はしばらく結婚式場で調理の仕事をしたり、工場で事務の仕事をしたりしながら、じっとみどりの郷のオープンを待ちわびていたんです(笑)。 その間約1年程。

年が明け、いよいよ待ちに待ったみどりの郷の職員募集がリリースされて、私は早々に応募しました。調理師と栄養士の両方の資格を持っていましたが、自分としては栄養士の仕事より調理の方の仕事が好きなので、その気持ちを面接で伝えて調理師として応募しました。

ユニット内だからできること

栄養士や調理師というと、施設の中の厨房に缶詰になり、お客様の顔を想像しながら1日3食提供するお食事の調理を下準備から行い、100食分、施設によってはそれ以上の食数分をひたすら調理するイメージがあるかと思いますが、私がここで取り組んでいることは、それとはちょっと違うんです。
ユニット内のキッチンに立ち、お客様の生活空間の中心となるリビングのど真ん中で、お客様の日常と密接に関わりながら献立を立てて、調理をして、お食事を提供する。ここで暮らす9名のお客様の顔を見ながら毎日会話をして、お客様の健康状態を観察しながら、どうやったら美味しく食事を摂って頂けるか、そんなことを毎日考えながら献立を立てたり調理したりするのが、とにかく楽しいんです。彩りや盛り付けなど見た目にも工夫を凝らして、お客様にお食事を目でも楽しんで頂きたいという思いで食事を作っています。湖星会の栄養課では、美味しいお食事をお客様に提供することをとても大切にしています。献立も材料の仕入れも担当者に任せてもらえ、裁量を持つ中で仕事をさせてもらえるので、その分やりがいも大きいんです。「こうしたい」という思いはすぐに実現もしやすく、自分が美味しい料理に出会って、お客様にも食べて欲しいと思った料理や食材は、比較的すぐにお客様の食卓にお届けすることが可能な環境にあります。だからこそ、味付けや調理の方法のすべてにおいて手を抜きたくないですし、1カ月の献立の中で同じメニューは出したくない、というこだわりは持っています。

朝、昼、夜、おやつを毎日提供している中で、昼も魚で夜も魚、といったような献立では、食事が単調すぎて目で楽しめない。家庭の暮らしに近い環境での生活を目標にしているので、毎度毎度ご馳走を出すのもまた違う。だから、家庭的なおふくろの味を楽しめる食事と、ごちそうとの強弱をつけながら献立を立てる様に意識しています。

究極の個別ケア

ユニットの中で仕事をすることで一番のメリットと感じている部分は、お客様お一人おひとりのパーソナリティから身体状態までよく観察して、看護師や介護士と連携しながら、その時の身体状態に合わせた栄養が摂れる様に、すぐに食事に反映できるという点です。午後から風邪気味の症状が出ているとか、皮膚疾患の回復に時間がかかっているとか、それによってビタミン類を増やした方が良いのか、タンパク質を増やした方が良いのか、塩分を控えた方が良いのか。日常生活上の健康管理面でも、例えば排便コントロールのために、水分摂取だけではなく食物繊維を多めに摂れるような献立を立てた方が良いのか、なんていう事は、毎日の食生活からアプローチできる部分だと思います。この身体状態を意識した献立づくりや調理の工夫等は、ユニット内のキッチンに立っているからこそ、すぐに反映できる部分だと感じています。例えば、栄養マネジメントと言っても、通常の施設では栄養士も調理師も普段はほぼ厨房に缶詰めになっているので、毎日のお客様の様子は見えませんし、お昼から具合が本調子でないお客様のその日の夕食に、何らかの工夫を盛り込んだ食事を「その方一人のために」提供することは難しいと思うんです。
でも、私が今担当しているグループホームでは、お客様の生活空間の中にあるキッチンで毎日の食事の献立を立てて食事を作り提供しているので、今、目の前にいらっしゃるお客様の様子を見ながら、すぐに反映できるという強みがある。「その方一人のために」やれることがある。あまり食欲が無いお客様に献立通りのこってりとした主菜を用意しても召し上がりにくいと判断すれば、同じ食材を使用しながらも、さっぱりとした主菜をご用意することだって可能ですし、胃腸の調子があまり良くないお客様がいらっしゃれば、胃腸に負担がかかりにくい消化の良い食事をご用意することだってできる訳です。

私が居るグループホームだけでなく、湖星会の特養の施設等でもこのスタイルが導入できたらいいなと思っていたんですが、今年の春にオープンしたラスール泉では、ユニット毎に担当の栄養士や管理栄養士を配置して、ユニットのお客様に囲まれた中で仕事ができる環境になっています。お客様お一人おひとりの様子を間近に見ながら、栄養士だからこそサポートできる部分、栄養士視点だから気付けることを各専門職間で連携し、細やかなケアの提供に繋がる部分が沢山あると思うんです。こういう施設が増えていく事は、本当に素晴らしいことだと思います。

妊娠中の勤務も
周囲のサポートで乗り切る

第一子を妊娠中の時は、今と同じグループホームに配属で、毎日調理の仕事に就いてました。グループホームの他のスタッフの皆さんが色々と協力して下さり、周囲の気遣いとサポートの中で妊娠期間中の勤務は何とか乗り切ることができました。悪阻はそれ程重たくなかったのですが、調理の仕事柄、どうしても匂いとの闘いがあって、とにかく野菜を茹でる匂いがダメで・・・。あとは、お腹が大きくなってからは、動いている時は大丈夫なのですが、1か所に立っていることができなくなってきて、貧血になってクラクラしてしまうんです。ですから、ミーティングや朝礼の時なんかは、いつも椅子を用意してもらって座りながら参加してました。男性スタッフは、いつも重たい食材運びを全てやってくれて、ユニットのスタッフの方たちは、皆さん子育て経験者ばかりでしたので、色々気遣って下さいましたし、妊娠中の私を実の娘の様に支えて下さいました。
その環境のお陰で、私は不安もなく妊娠期間中も安心して働いておりました。そして無事に出産を終え、初めての子育てが始まりました。慣れない一人目の育児でしたので、授乳に追われておむつ交換に追われて、気付いたら半年が過ぎたという感じでしょうか(笑)
結婚してすぐに第一子が生まれたので、夫婦で貯金も頑張りたかったし、出産が一段落ついたら早く仕事に復帰したいな、と思っていました。運よく、自宅の隣にある保育園で生後半年後から預かって頂けるところで空きがあったので、出産半年で復帰しました。第二子の時は、育休は1年取得しましたが、そっちの時の方があっという間でしたね。実家が農家なので、そっちの手伝いをしながら子どもの面倒もみていたので、仕事に出ている時より、育休中の方が忙しかったかも知れません(笑)。

私が産休や育休を取得した頃は、まだ時短勤務の制度がなかったので、正直時短勤務の制度があれば、また少しプランの幅が広がったのかな、と思います。とは言いながらも、一旦復帰してリズムを戻してしまえば、フルタイム勤務でも何ら問題なかったですけれど(笑)。でも、今は湖星会も時短勤務制度もバッチリ整っているので、これから育休を取得する方は、復職時に大分負担が減るのではないかと思います。第一子の時と第二子の時でも違うでしょうし、私みたいに実家が農業や畜産など、家業をやっている家でも違うでしょうし。子どもを見てくれる実家が近くにあって、そこをあてにできるかどうかでも子育て環境は変わってくると思うので一概には言えないですが、選択肢が増えてプランの幅が広がるということはすごく助かると思います。

子育てと仕事の両立
楽ではないけど
それでも働く道を選んだ理由

実は私は、家族が8人の大家族なんです。私の祖父母、両親、私たち夫婦に子どもが二人。ですから、朝はもう大変です。先ずお弁当作りから始まり、子どもたち二人の着替え、洗面、ご飯、身支度、そして上の子と下の子で別々の保育園なので、それぞれを送り出す、もう戦場ですよ。戦いです(笑)。
仕事から帰宅した後も、おじいちゃんとおばあちゃんが先に畑仕事を終えて山から下りてくるので、先に晩御飯を用意して食べてもらい、それが終わると両親と子どもたちのごはんの支度、家でも職場でも、朝から晩までご飯の支度です(笑)。
そう考えると、寝ている時間以外は、ずっと動きっぱなしだし、忙しい日常がもはや私のスタンダードな日々だなぁと思ったりもしますが、やっぱり私は料理が好きだし、私の料理を喜んでもらえることが何よりも嬉しい。私がこの道に進んだ原点でもあります。だから、2人の子育てに実家の手伝いが重なりどんなに忙しくなっても、この仕事は続けたかったんだと思います。毎日の食事を楽しみにして下さり、『美味しい!美味しい!』と、私が提供した食事で笑顔になって下さるお客様の笑顔、家族の笑顔が私にとって最高の幸せなんです。

休みの日は、5歳と1歳の娘と時間が許す限りできるだけ一緒に過ごすようにしています。あとは、2~3日分の食事を一気につくり、ストックします。仕事との両立をする中で、こういったちょっとした工夫が結構大事だったりします。私が休みの日は、温めればすぐに食べられるように作り置きができるものをできるだけ作っておき、冷蔵庫で予め保存しておきます。仕事から戻り、この予め作っておいたものを温めれば、あとはご飯とお味噌汁、時間があればもう1品程度作れば、十分な夕食が完成します。煮込み系の主菜なら、温めるだけでOKですから、簡単に夕食は完成です。私が仕事の日は、子どもたちのお風呂は夫やじいじやばあばに入れてもらっているので、休みの日はできるだけ一緒にお風呂に入れるようにしてます。あとは、合間に自分の趣味としてお菓子作りやパン作りをしてストレス発散してます(笑)自分のための時間も、結局はお菓子作りやパン作りをするぐらいですから、根っからの料理好きというか、やっぱり今の仕事が私にとっての天職なんだなとつくづく思います(笑)。

もっと介護の勉強をして
介護のできる栄養士になりたい

仕事では、グループホームで栄養士と調理業務を中心に介護の仕事も兼務していますので、もっと介護の勉強をして技術面も磨いて、介護の方でもお客様のお役に立てる様になりたいと思います。
正直、ユニットの中の配属になった時、お客様から何か依頼されたらどうしよう…栄養士とか調理以外の事は何も知らないし、出来ないし…と不安を抱いたりもしましたが、その不安はすぐに吹き飛びました。恐らく、私自身が幼少の頃から祖父母たちと一緒に暮らしていたこともあり、お年寄りの方との生活空間に全く違和感なく溶け込めたことも大きいと思います。でも、私の祖父母はまだ介護を必要としている状態でもないので『介護をする』という部分では私にとって初めての部分でした。お客様と同じ生活空間の中に毎日8時間居る中で、お客様に対する思いが芽生え、何かして欲しそうだなと察した時に、それをしてあげたいと、自然と思うようになりました。栄養士だからとか、介護職だからとか、そういった線引きではなく、今、目の前に居るお客様の役に立ちたい、その思いです。

プライべートでは、マラソンをしていて、今年初めて地元のロードレース(東和ロードレース)に上の子と出場する予定です。トレーニングを積んで、出られるレースにはできるだけ参加したいなと思っています。

湖星会での就業を
検討されている方へ

子育て中の方や、一旦完全に家に入り専業主婦になっている方は、どのタイミングで仕事復帰しようかタイミングを図っている方も少なくないと思います。特に、もう一人子どもが欲しいとか、働いてもまたすぐ産休に入ってしまうかも知れないと考えている方は、なおさら仕事復帰のタイミングに迷われることでしょう。
私の職場には大勢の子育て経験者がいて、私の母と同じ位の世代の方が、まるで私を実の娘を想うように支えて下さる、そんな環境があります。私自身、初めての妊娠や出産、育休から職場復帰する時は「大丈夫かな?私にできるかな?」と不安な気持ちもありましたけれど、職場の皆さんからも助けてもらい、家族にも支えられて、とてもスムーズに職場復帰しております。今もこうして仕事をしながら子育てができているってことは、本当に幸せだと思っています。子育てしながら新しいことを勉強するって、決して楽なことではありませんが、それでも挑戦できる環境が整っていて、チャレンジするチャンスを頂けているというのは、すごく恵まれていると思います。私自身、この職場が大好きで、子育てと仕事の両立って大変!と言いながらも、朝になれば仕事に行きたくなるんです。

オハナハウスを一言で言うと、とにかく「人が素晴らしいところ」です。お母さん世代の方たちが多いせいか、職場に来るとホッとするんです。この人たちに囲まれているから、私は何の不安もないです。包容力がすごいんですよね。お会いすると元気がでちゃう。こんなこと言ったら怒られちゃうかも知れませんが、おばちゃんパワーというか(笑)、本当に毎日エネルギーをもらって、毎日頑張れている、そう実感できるような職場です。子育てをしながら、女性が長く働く職場として、とてもお勧めできます。是非一度施設見学にお越しになって下さい。お待ちしております!

Profile

福島県二本松市出身。桜の聖母短期大学 食物栄養学科 卒。
平成18年10月、特別養護老人ホームみどりの郷にオープニングスタッフとして入職。栄養課に配属となり、栄養士と調理師のダブルライセンスを生かして、栄養士業務から調理業務まで幅広く栄養課業務を約6年間に渡り経験する。
平成24年には、オハナハウス小規模多機能ホームに異動し、これまでの経験をベースに献立づくりから食材調達、調理までのすべての業務をワンマンオペレーションでこなし、お客様へお食事を提供するまでの一連の業務のすべてを担う。同年に結婚し、翌年4月には第一子が誕生。育休取得後に職場復帰し、これまでと同様オハナハウスで栄養士兼調理師として活躍する。平成29年には2度目の産休に入り、同年3月に第二子を出産。その後1年間の育休ののち、平成30年の3月よりオハナハウスのグループホームに職場復帰する。職場復帰後は、これまで同様に栄養士と調理師の仕事以外に、食事介助、トイレ介助、共有部の清掃、送迎、見守り、お客様と一緒のお買い物などの介護業務の一部も担うようになり、マルチタスクな活躍を見せる。
『これからの時代、小規模な施設においては介護のできる栄養士・調理師が活躍する』と、介護の勉強に熱心に取り組む2児の母。趣味はマラソンとお菓子作り。

管理栄養士・栄養士の先輩インタビュー