先輩の活躍

本気で介護を辞めようと思った
あの日の自分に伝えたい
本当はこの仕事が大好きなんだよと

地域密着型特別養護老人ホーム
万葉の郷

平成28年 新卒入職

介護職

尾形 幸 さん Miyuki Ogata

地元に恩返しできるような
仕事に就きたくて

私の地元である福島市松川町は、地域の中にお年寄りが多く、私が子どもの頃からご近所のおじいちゃんおばあちゃんにはとても可愛がってもらっていました。学校の下校途中に私を見かけると、遠くから「おーいっ」と呼んで大きく手を振ってくれて、お菓子を沢山持たせてくれたり、学校を遅刻しそうになって走っていると、車で通りかかったおばあちゃんが「乗ってげー」と声かけてくれて、車で学校近くまで送ってくれたり(笑)。松川ってそんな街なんです。
いつも可愛がってもらっていて、地域の中で育ててもらった感覚があります。だからいつかは恩返しがしたいと、将来の進路を意識する頃からずっと思っていたんです。そこで、介護の仕事に興味を持ちはじめ、高校卒業後は介護の専門学校へ進学し介護福祉士を取得しました。
地元のおじいちゃんおばあちゃんに恩返しがしたかった、という原点があったので、自宅近くの地元の施設に就職したいと考えていました。
万葉の郷は自宅のすぐそばにあったので施設見学に行ったのですが、ユニット型で皆さんとても穏やかに過ごされていて、職員の方も優しく温かく、入居されているお客様も皆さん落ち着いて過ごされていました。

専門学校時代の実習は、多床室が中心の従来型の特別養護老人ホームで、お客様も職員も沢山いるところで学習しました。人数が多いこともあり、お一人おひとりと関わりながら暮らしを支援する、というよりも、沢山の業務を淡々と遂行している雰囲気で「自分に務まるのかな?」と不安に感じる事が多かったんです。でも、万葉の郷に見学に来ると、お客様は皆さん各自の個室があって、日中帯はリビングダイニングキッチンがあるところでそれぞれゆったり過ごされている。「暮らしの場」「生活の空間」っていう言葉がぴったりな雰囲気でした。そして、看護師さんがいつも現場と関わって色々やって下さるので、その安心感も大きかったです。私もここで働いてみたいと感じて、卒業後は湖星会へ入職しました。

「この仕事は辛いことの方が多い」
それでも介護の道を選ぶ理由が
わからなかった学生時代

私が通っていた介護福祉系の専門学校には、医療や介護の現場経験が豊富な先生方が沢山いらっしゃいました。そして学生時代の3年間は、先生から現場での色んなお話を聞きながら過ごしました。学校では、介護の仕事の楽しさ、すばらしさについての話を沢山聞かせて頂いていて、早く現場に出たい気持ちで胸を弾ませながら過ごしていました。そして2年生の時、私は現場の厳しさや辛さ、大変さに関する予備情報を何も持たないまま、初めて実習へ出ました。

いざ実習へ出ると、そこは私が想像していた世界とは遠く離れた現実がありました。暴言を吐くお客様がいたり、お客様同士が杖を使って喧嘩をはじめたりして、先ずはショックでした。そしてそういう時はどうしたらいいか、そんなことは何一つ習っていなかった私は当然パニックになり、ご入居者同士の喧嘩に介入してなだめる事もできなければ、何もすることができずにただうろたえるばかり。初めての食事介助では、一度に二人の方の食事介助を同時にやるように言われ、一人のお客様は全く口を開かない、もう一人のお客様は口に入れたものが溜まっている。他の介護士さんはみんな食事介助を済ませて下膳しているのに、私だけ一歩も進んでいない。
毎日がこんな調子でした。もう介護の現場が怖くなって、自分自身を追い詰めて考え込んでしまって、実習も学校も本気で辞めようと思った時期があったんです。自分には介護の仕事が向いていないんじゃないかなと思って。

そんな時、実習先の職員の方が、心配して声をかけて下さいました。

「私はね、介護の仕事はつらいことの方が多いと自分では思っている。でも、必ず楽しいことが出てくる。その楽しいことを大切にしながら毎日仕事をしているんだよ。これがあるから頑張れる!と思える楽しい時間が、あなたも必ず見つかると思うよ。」そう言われたんです。そんな時間本当にあるのか?と、半信半疑でした。何より、「介護の仕事は辛いことの方が多い」というのなら、どうしてこの職員さんは介護の仕事を選んで、この職に就いているのだろうか。私はその答えがさっぱりわからないままでいました。でも、折れそうな私に正面から向き合って、そう伝えて下さった実習先の職員さんの言葉を信じたい自分も居て、まずはやってみるかと自分に言い聞かせました。何とか実習も乗りきり学校も辞めず続けましたが、それでもあの時の職員さんが介護の仕事を選んでその職に就いている理由は依然としてわからないままでした。

その後、いつもの学校生活に戻り一年が過ぎ、3年生の実習へ行く時期になりました。
そして私はその実習先で、すごく楽しいお客様に出会ったんです。

ちょっと声をかけると、マシンガンのごとく延々とお話をして下さるお客様。器用に折り紙で色々な作品をつくられたり、昔よく遊んだというゲームを教えてくださったり。すごくテキパキした方で、私の方がすごくどんくさい感じになって怒られたりして(笑)。でも、その時間が凄く楽しくて。その実習が終わりかけた頃、1年前に実習でお世話になった施設の職員さんが言ってくれた「必ず楽しいことがみつかる」という言葉を思い出しました。多分あの時の先輩職員がおっしゃっていた「必ず楽しいこと」っていうのは、こういうことなのかな?いや、もっと楽しいと感じる瞬間が、きっとあるんじゃないかな?そう思うようになりました。

介護技術的な部分でも、お客様とのコミュニケーションの部分でも、まだまだ未熟で毎日追われている自分には、楽しいことが沢山あることに気付ける余裕がない。技術も知識もコミュニケーションももっと熟練してくれば、お客様と向き合えるゆとりが自分の中に出てくれば、今まで気付けていないだけだった仕事の中の面白さや楽しさに気付けてくるんじゃないか、そんな風に感じたんです。「辛いことの方が多い」介護の仕事を選び、就いている理由が見えてくるんじゃないかと思うようになりました。

そして、私もその理由を見てみたいという強い思いが、自分の中に芽生えたんです。

お誕生日会を開催できる喜び
日常の暮らしの中にある
小さな幸せを大切にしたい

湖星会に就職し、自分が居室担当となったお客様のお誕生日会の企画を何度か経験しました。お客様のお誕生日当日は、その方のためだけのお誕生日会をやるのが湖星会のこだわりで、主に居室担当者が中心となり企画して準備を進めていくのが恒例なんです。今年に入って、自分が居室担当しているお客様のお誕生日会をいつものように企画し、当日を待ち遠しく着々と準備を進めていたのですが、そのお客様が先日お亡くなりになりました。お誕生日の当日でした。
そのお客様はお料理が好きで、居室でみんなでおやつを作ったりする時は、満面の笑顔で積極的におやつ作りに参加されていたんです。だから、お誕生日会も手作りのおやつをその方を中心に作ってみんなで頂く、そしてプレゼントをお渡ししてみんなでお祝いする内容で企画をしていたのですが、お誕生日の前日に容体が急変し、病院で緊急手術を受けたのですがその後お亡くなりになりました。お誕生日当日に、旅立たれたんです。

お誕生日会を開催する、日常の暮らしの中の一コマですが、開催できることが本当に喜びなんです。こうして今年もお祝いできたという喜びがあるんです。だからこそ、お誕生日会はこだわりたいし、私の中では一番大切にしていきたい行事なんです。

休みの日は
気心知れた学生時代の友人と
のんびり過ごしてリフレッシュ

友達と休みが合えば、友達の家に遊びに行って一日中おしゃべりして過ごしたりすることもあります。おしゃべりが一段落した時は、一緒にカラオケに行って、歌って歌って歌いまくる♬。これが、いいリフレッシュになるんです。専門学校時代の友人は、殆ど同じ業界に就職しているので、それこそ「介護あるある」ネタとかで盛り上がったりして(笑)。
気心知れた旧友とのひと時って、いいですよね。お互いに近況を報告し合いながら、お互いに励まし合って。お互いにエネルギーを注入し合う感じです(笑)。

これから挑戦したいこと
仕事もプライベートも
人生をまるごと楽しみたい

私のこれからの目標、色々ありますけど・・・自分から積極的にもっと動けるようになることを目標にしています。これまでは、言われたことをやる感じで動いていたので、これからはもっと自ら動いていけるようになりたいです。そうすればきっと、今まで以上にお客様と向き合って色んな発見がありそうで。
あとはやっぱり、介護支援専門員の資格を取得することです。介護福祉士の資格は持っていますが、休みの日にご近所のおじいちゃんやおばあちゃんが家に遊びに来た時、介護に関する相談を受けたら色々とアドバイスしたり支援したりできるように、知識を深めておきたいと思うんです。多分、今すぐに介護サービスを必要としている訳じゃなくて、近い将来に備えて知識を得ていたいという感じなんだと思います。介護サービスの利用が前提じゃないと、居宅介護支援事業所とか行政窓口に相談したり話を聞きに行くのは何だか申し訳なくて行きにくいと仰るお年寄りの方も多くお見かけします。決してそんな事はないんですけどね。うちにお茶のみに遊びに来られたご近所の方たちに、気軽に気さくに役に立てる事があれば本当に嬉しいです。

湖星会への就職を検討している
学生の皆様へ

学生時代の自分を思い返すと、実習での経験がすごく辛くて、介護福祉士を目指すことも、学校も、実習真っ最中だというのにその実習も、すべて辞めようと本気で思ったこともありました。
でも、そこでお世話になった職員さんの一言で、今日まで辞めずに続けてきた私なのですが、あの時学校辞めなくて、介護福祉士目指すの辞めなくて、実習を途中で辞めなくて本当に良かったと思っています。

1つずつ、やれることが増えてきて、少しずつ成長できれば、仕事の楽しさや面白さがちょっとずつ見えてきます。最初からパーフェクトにできる人なんていないのに、出来ない自分が嫌になったり、すぐに「向いていないんじゃないかな」なんて思ってしまったあの頃の自分に教えてあげたいくらいです(笑)。
介護の世界は、施設によって雰囲気もやり方も方針も大きく違うんですよ。だから皆さん、できるだけ沢山の施設を見学して、雰囲気に触れることをお勧めしたいです。福祉系の専門学校生は特に、実習の期間も回数も多くボリュームがあるので、何となく実習で「全てを見た」気持ちになりがちなのですが、それはあくまで沢山ある施設の中の一つ、二つ。色々な施設を見学して、自分に合った場所が見つかることを願っています。私が勤務する万葉の郷にも是非遊びに来て下さい!お待ちしています。

Profile

福島県福島市出身。 郡山健康科学専門学校 介護福祉学科 卒。
入職後、地域密着型特別養護老人ホーム万葉の郷の介護部に配属となり、長期入所ユニットで介護職として勤務。お客様とお話している時間が何よりも大好きで、この時間があるから仕事を頑張れるのだそう。ユニット内のレクリエーションや外出支援の企画に力を入れており、企画するレクリエーションはお客様から大変好評を得ている。現在、こやまケア委員会に所属。地域密着型特別養護老人ホーム万葉の郷で介護職として活躍中。

介護職の先輩インタビュー